隔日おおはしゃぎ (Road of座)

Road of座(ロードオブザ)の代表大橋拓真が、ほぼ隔日でコラムを書くところ

♯55 愛せよガラクタ

実家の押し入れの一番下の段。中学くらいから触ってもいないそこには大量のトレーディングカードゲームが眠っている。遊戯王とデュエマ。どんなカードも戦略次第な遊戯王に比べてデュエマはもうどうしようもないカードがたくさんある。とにかく光るカードを求めて一パック155円くらいを買い続けた軌跡である。今となっては再挑戦しようとも思わないけれど、むかし見てワクワクしたカードは今見てもワクワクするから楽しい。

無我夢中でカードを集める私に姉はよく言った。

どうせあとでゴミになんのに

かくいう彼女も行く先々のレストランの割り箸を集めるという奇行を展開していたのだが、当時の私には合理性で姉に敵うことは無かったため意固地に集め続ける他なかった。あるいは、「勝つには必要やねんもん」であった。何か幼稚な反論だなあと唇を噛んだ記憶である。

だがしかし、それって幼稚なんだろうか。今の自分を満たしてくれるものにお金を払うことは浪費なんだろうか。今しかないとどこかの林先生が言っていたけれど、それとこれとは違う話なんだろうか。必要なものだけが必要なんだろうか。だったらエンターテインメントはどこへゆくのだろうか。

太く短く生きる、と、細く長く生きる、という例えがあってこう聞くと結構答えが割れる。未来の自分と今の自分。苦労を先延ばしにするのは違うけれど、未来の自分をかわいがるように私は今の自分もかわいがりたい。嗜好品がQOLをあげるし、贅沢が時に心を豊かにもする。だんごが腹を満たして花が心を満たす。粋が分かる人でありたい。